日本刀の鑑賞講座
「宮司の独り言」の更新が滞っていました。もっと気楽に神社のことを時には離れて書いてみようかと思います。その意味ではリニューアルということになるでしょうか。
内容は散文的で気分によって脈絡がなくなると思います。・・・まあ、とっ散らかった内容になると思いますが、どうかご勘弁を・・・。
さてさて、早速ながら今日の本題。趣味で私、実は日本刀の鑑定を習っておりまして、一時期神社の社務所で鑑賞勉強会を講師を招いて開いていたこともあります。最近の日本刀流行りには驚くばかりです。日本刀鑑賞には独特の作法があります。専門用語が多いのも特徴です。鑑賞に際しては見所とその見方があります。
日本刀鑑賞に際してのノート -個人的な覚書-
御刀を手に執って鑑賞する機会に恵まれたら・・・。
手に執る正しい手順
1・御刀の正面に正座し(テーブル使用の場合は立ち)、まず一礼する。必ず行なう事。
2・中茎(なかご)-柄の部分-を右手でしっかり持ち、刀身の刃の方を起こすようにして持ち上げる。刀は鉄で出来ているとはいえ、何か塵のようなものでも当ったり擦れたりすれば割合簡単にキズがついてしまう。また、刃の方を起こすようにして持ち上げる事により、「枕」(刀を置く際に用いる小さいクッション)を切ってしまうアクシデントも防げる。
3・鑑賞用の袱紗を左手に執り、掌に袱紗を載せて刀身を支えるようにして刀を持つ。袱紗を持つ際のコツは掌をやや上向きにして親指で袱紗の端を押さえつつ、人差し指と中指の腹で刀身を支えるようにすると良いようである。決して素手で刀身を触ってはいけない。右手はしっかりと中茎を持つのであるが、小指と薬指の握りは大切である。注意してしっかり握ると持つ手が安定する。
4・左手は前の方にやや伸ばし、右手は右腰や右胸に近い方にあり、体はやや半身(右側をちょっと引く)になるのが良い姿勢である。背筋を伸ばす事も大切。鑑賞の姿勢が美しく“様”になっているとなかなか格好良いものである。刀を見せる所有者の方も安心するのである。決して忘れてはいけないことは、刀身を触らない事。
5・御刀を持っている時は決してしゃべらない。ツバは意外に飛ぶものである。どうしてもしゃべる時は顔を刀身から遠くに離し、御刀は右腰の側に持ち刃は自分の方に向ける事。昔の人がよく口に紙をくわえているのは、息がかからないようにするためと、しゃべらないようにするためなのである。
御刀を置く時はどうするか
1・刀身の棟(むね)-刃とは反対側の背中の方-を先程の「枕」の上にそっと置き、前後に擦れないようにしつつ中茎(なかご)-柄-の手許の方を置く。
2・注意しつつ、刀身の刃の方を「枕」に寝かすようにして置く。
3・一礼する。必ず行なう事。
鑑賞中に注意する事
*御刀を鑑賞している間はなるべく刀身を右左に向けないようにする事。隣の人の御刀とぶつかる事故は、決して起きてはならない。
*手許の方、指が中茎から刀身の方へ出てしまわないように注意する事。鑑賞に夢中になるとしばしば起こりがちの事である。
*切っ先を決して人の方に向けない事。
*そんな人はいないとは思うが、竹刀のように素振りなど間違ってもしてはいけない。
人に御刀を手渡す時はどうするか
1・必ず刃の側を自分の方へ向け、両手で中茎をしっかり持って相手に渡す。
2・相手がしっかりと受け取った事を確認して、手を離す。
*両刃の「剣」の場合は刃が左右にくるように持ち、平地が自分と相手の方を向くようにして渡す。他は上記に同じ。
3・一礼する。
鑑賞の要点はまた、次の機会に・・・。(いつになるか判らないけど)
by guujihitorigoto | 2017-06-05 10:04